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尊厳死に踏み切れない理由は何か?


 ”死ぬときはポックリと。余計な延命処置はしないで欲しい。”そうう考えている人が増えているようです。ところが実際植物状態になると思うようにはいきません。尊厳死に踏み切れない理由は何なのでしょうか?

 アメリカでは植物状態にある一人の女性の尊厳死を巡って賛成と反対が交錯し、栄養補給用のチューブをはずしたり付け直したり、を繰り返しているようです。誰が賛成し、誰が反対しているのでしょうか?

 植物状態にあるのはテリー・シャイボTerri Schiavo)さんという名の41歳の女性で、15年前から植物状態にあるとのことです。しかも7年前から尊厳死を認めるか認めないかで裁判で争っています。

 今回尊厳死を認め賛成しているのはシャイボさんの夫と裁判所、反対しているのはシャイボさんの両親と議員達です。賛成と反対のそれぞれの理由は以下のようになっているようです。

賛成の理由:
@尊厳死は本人の意思。

反対の理由:
@娘はまだ生きている。安楽死は殺人。

 植物状態と混同されやすいのが脳死ですが、ここで復習しておきたいと思います。脳死の場合は脳幹も含めて脳が死んでいるため、自分で呼吸をすることができません。このため、延命のために人工呼吸器を付けて呼吸を続けることになります。呼吸ができれば心臓も動き続けますが、長くても数週間で心臓も止まるとされています。この脳死の場合、生き返った例は無い、とされています。

 一方植物状態の場合、脳幹が生きていて呼吸は自分でできるため人工呼吸器を付ける必要はありませんが、意識がないため自分の意志で食べることができません。そこで延命のために、胃の中にチューブを入れて栄養を送ることになります。実際そうやって、シャイボさんは15年も”生きている”ことになります。

 しかし15年間も誰が延命のための費用を払っているのでしょうか?娘婿は財産を受け取り再婚したいがためにチューブをはずそうとしている、と両親が主張しているくらいですから、今回の場合は経済的負担は問題になっていないのかも知れません。

 脳死状態も植物状態も、延命処置が無かった時代には無かったことで、命を守るためにできるだけのことをやっている、とも言えますが、本人の意思には関係なく人体実験をやっている、という言い方もできます。尊厳死に対しては、まず感情的に賛成か反対が決まり、それに後から理屈が付いてきているように思います。

 殺人者にはなりたくない、というのが尊厳死に踏み切れない理由だと思いますが、本人や本人に近い人の意志を尊重することが、その人の命を大事にすることだと思います。

-2005/3/21




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