ウィルスに対して抵抗力がないとなれば人間の命はあっけないものです。歴史的にも多くの被害者を出し続けているのがウィルス感染で、今回の新型肺炎(SARS)も油断はできません。
新種のウィルスを生んだとされる中国には、被害を拡大すべく作用する別種のウィルスも存在しているようです。それは感染の事実を隠そうとする体質です。
こうした体質が、中国共産党による一党独裁によって生まれたのか、巨大な官僚組織によって増殖したのか、それとも国土が広すぎるために目が届かないのか、その理由はよくわかりません。
人口が多すぎて一人一人の命まで面倒を見きれないとなれば、大きな国の国民はたまったものではありません。おそらく国の大きさには関係がないのだろうと、思います。
各国が複数の政党による政治を行い、お互いを批判しあいながらもなかなかうまく行かないのに、批判勢力のない一党独裁でうまく国が回ること事態があり得ない、と考えられます。
どんな体制でも起こる失敗を、発見するたびにそれを認めて修復に動くのか、それとも無かったことにして覆い隠すのか、一党独裁下で修復に動けば失策を明らかにすることになり体制内で嫌われます。見て見ぬ振りをする人間が得をするしくみになっているようです。
中国では一党独裁体制という”実験”がまだ続いているし、北朝鮮ではそれに加えて、元首の子供が後を継ぐ世襲という”実験”まで行われています。いずれは行き詰まるだろう、と思いながらも、他国は直接手を出せません。
さらに、その体制の中枢にいる人たちは自分たちが持っている強大な”既得権”を手放そうとはしないため、崩壊しない限り体制は維持されます。
この強大な組織が人権問題を蹴飛ばしてしまうように作用することは力関係からも明らかです。少数民族や自治区の人権を尊重しようとすれば、その地域の勢いが増し、その勢いは各地に飛び火し、民族運動が激しくなれば、体制維持がむずかしくなります。
人権を擁護することによって党の中枢にいる人たちが得をするとは思えません。しかし、どんな組織にも寿命があるはずです。インターネットの時代になって、チベット人など少数民族の人権を尊重していると嘘をつき続けることも、知らないふりをすることも難しくなっています。
中国が抱えている政治体制の矛盾は、特にSARSのような国際間の問題になったとき、問題を悪化する方に作用し、膿(うみ)となって出ているように思えます。
-2003/4/20
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