スペインで列車爆破事件が起こるなど、最近はテロがらみのニュースを聞かない日は無いくらいです。何が人をテロに駆り立てるのでしょうか?一時的にカッとなり仕返しをしたくなるというのなら解らないではありませんが、そんな柔(やわ)な怒りでテロができるとは思えません。
テロリストは何年も前から隠れて暮らし黙々と準備を進めるだけではなく、実行後は命を失ってしまうこともしばしばで、やり遂げた姿を自分で確認することができないこともあります。何が彼らを突き動かしているのでしょうか?
人は常に快を求めて行動するとは限らず、ただ不快を避けるために行動を起こすこともありますが、快を求める力は一箇所に集中し、不快を避ける力は拡散しやすいという特徴があります。それは蜜を求めて集まる蟻や、落とせば四方八方に散ってゆく蜘蛛(くも)を想像すれば理解できます。
世の中には、拡散するそのような力をレンズのように一箇所に集めて自らの企みのために利用しようと考える人たちがいます。その力はどうやって集めるのでしょうか?
それは将来不安や苛立ちに原因と解決策を与えることだろうと思います。漠然とした不安やわき上がる苛立ちがあると、不快な状況にある自分を正当化するために、理解しやすい理由を欲しがるのです。しかも、その理由は必ずしも真実である必要がありません。でっち上げでも良いのです。
アメリカに代表される先進国にテロを仕掛けるテロリストたちは、自国や自分の絶望的な将来の原因がアメリカにあると考えるようです。アメリカというより、日本を含む先進国は貧しい国々からたとえば安く原材料を手に入れるなど、公平に富を分配していないということも事実なのでしょうが、こうした不公平に対する苛立ちを持つ若者たち(テロリストの卵たち)を集めて怒りの原因とその対処法を教授しているとされるのが、いわゆるアルカイーダということになります。
アメリカはたしかに自分勝手ですが、おそらくそれはこれから先も変わらないはずです。英語という言語や、ドルという通貨は世界中で通用します。その双方を持つのがアメリカで、良くも悪くもアメリカは事実上の帝国であり続けるはずです。それに比べるとアラブ地域は、かつては雨も良く降り豊かな土地で人類最初の文明を築きましたが、それを変えたのは気候の変化だと言われています。
アラブの国々から石油が掘り尽くされたとき、残るのは乾いた砂漠ばかりです。変わりそうもないアメリカをいつまでも責めている場合では無いのではないか、という気がします。
-2004/4/7
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