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なぜ国連まで攻撃するのか?


 19日に起きたバグダッド国連事務所の爆弾テロで亡くなった人の数は21日現在で24名を数えるそうです。英米を含む各国からの軍隊を攻撃するのなら、旧フセイン政権の残党がやったのだろう、と想像ができます。

 ところが、今回の相手は国連です。これについては、英米もその他の西側諸国も、そして国連も同じようなものだと、テロリストたちは考えているのだろう、という見方があります。それにしても何がねらいなのでしょうか?

 まず間違いなく、日本からの支援は遅れることになります。成立したイラク特措法は自衛隊をイラクに送るための必要条件ではあっても、十分条件ではありません。派遣先のイラクが何を考えているのか理解できないくらいに危険な国だということになれば、もともと自衛隊派遣に反対だった人はもちろん、賛成だった人まで、反対に回ることになるからです。

 国連やアメリカはどうでしょうか?ブッシュ米大統領はテロリストを非難し、イラク支援は続ける、と表明してはいます。いまさら手を引くわけにはいかないのでしょう。ところが、治安回復に全力を尽くしていない、とのイラク国内の不満があることからも分かるように、アメリカはどう考えてもイラク支援に気合いが入っているようには思えません。

 イラク民主化のための進め方については、マッカーサーを送り込んだ日本占領時代の経験を参考にしようと考えていたようです。極東にある日本も中東にあるイラクも、同じ東洋人だと考える、かつての乱暴なオリエンタリズムをまだ信じている、というのでしょうか?

 いずれにしてもアメリカが戦後の後始末が苦手だということは確かなようです。今回のテロは外国人テロリストの自爆テロだ、との見方があるようですが、どうしてかくもばかげた戦いを続けるのでしょうか?


 もともと人間には自分の命や財産を守る権利があって、それを国などの公権力が侵害するような場合は、これを拒む「抵抗権」と、場合によっては体制をひっくり返す「革命権」がある、と考えた人がいました。

 「社会契約論」と呼ばれるこうした考え方は、イギリスの名誉革命やフランス革命を支えた考え方だとされています。フセイン政権のような圧政が、イギリスにもフランスにもあったわけですが、それは革命によって打倒されました。

 なぜフセイン政権下のイラクではその革命が起こらなかったのでしょうか?政治を変えたいと考えるリッチな市民層が生まれなかったためだろう、と思います。市民層というくらいですから、一人や二人ではどうにもなりません。国民の何割かを占めるくらいに一大勢力にまで成長する必要があります。

 イギリスやフランスの民主主義は革命によって17世紀や18世紀に獲得されたものですが、現在の国民一人一人はその歴史を知らされることで、民主主義に至る過程を”経験”しているのだろう、と思います。

 イラクのフセイン政権を倒したのはイラク国民ではなく、おせっかいな英米軍でした。イラク国民は民主主義に至る革命を経験していないし、民主主義に至る過程についての教育も受けていません。民主主義が根付かないのは当然なのかも知れません。

 イラクやイスラム過激派の、革命を求めているかに見えるエネルギーは、国連を含む西側全体に向いているようなので厄介です。これは日本がアフガニスタンで女子校建設を支援しているように、地道に教育で民主主義を”経験”してもらうしかないのだろう、と思います。

 ちなみに日本も、民主主義に至る革命らしい革命を経験していないうえに、教育も富国強兵や戦後復興のためにゆがんでしまったためか、いまだに”サービス残業”や”過労死”などを生み出す”空気”から、自由を獲得してはいません。


-2003/8/22




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