8月7日、北京で行われたアジアカップの決勝戦は、中国サポーターの異様とも言える雰囲気の中でおこなわれました。空気に飲まれた審判らが中国よりの判定をする場面もいくらか見られましたが、逆に日本選手らはその動きをエネルギーに変えて、試合は見事に3−1で勝利しました。
テレビ朝日系で試合終了まで、NHKのBSでは表彰式まで放送されましたが、試合そのものはなんとか無事に終わりました。ところが朝になってニュースを聞いたら、その後に一部のサポーターらが騒いでいたようです。
象徴的だと思ったのは、ロスタイムに日本が3点目のゴールを決めた後、中国のサポーターらが帰り始めたことです。表彰式の頃には中国のサポーターの半分が帰ってしまったようです。日本に負けたとは言え、中国は準優勝だったわけで、その栄誉をたたえてもよかったはずです。
試合終了後、日本の大使館関係の車が中国の一部のサポーターらに取り囲まれ窓ガラスが割られたり、日本のサポーターが二時間半も競技場の外に出られなかったりもしたようです。フーリガンに象徴されるようにサッカーでの熱狂的な行動はよく伝えられるところではあるにしても、今回中国のサポーターと呼ばれた連中が、本当にサッカーのサポーターだったのかどうか疑問です。
サッカーをネタに日頃の不満をぶつけているようにも思えました。それにしても日の丸を焼くなど、政治色の強い反日的な行動つながってしまうのでしょうか?
それは90年代に行われた、中国政府による愛国教育のせいだとも伝えられていますが、ベースには中国国内の貧富の差による不公平感がある、と思います。愛国教育とは、中国の小学校の道徳の授業などで行われた教育のことです。授業の様子を伝えるビデオを見たことがありますが、日本軍と闘い中国の建国に貢献したとされる偉人らを称え、自分もそんな人物になりたい、と言わせる授業です。ビデオを見たときは背中が寒くなったものです。
経済発展で貧富の差が激しくなると、当然の事ながら不満がたまるわけですが、こんなときに行われるは手間のかかる根本的な問題解決ではなく、手頃な八つ当たりです。これは心理的には、”転換”と呼ばれる防衛機制の一つで、個人の心の安定のために必要な心の働きだとされています。
貧富の差に対する不満など、直接中国政府に抗議できないために欲求は抑圧され、今回のアジアカップでヒステリックな行動となって現れているように思えます。こうした事情は中国政府が一番よく解っているはずだし、しかも北京オリンピックを控えてこのままではいけないとも思っているはずです。中国はこれからどう動くのでしょうか?
-2004/8/8
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