ロシアのロックコンサート会場で自爆テロがあり、16人が死亡したと報道されています。自爆テロに加わったのはチェチェン人女性3人で二人は自爆、一人は爆弾を抱えていて拘束されたと伝えられています。
なぜ自爆テロに及ぶのか、とその理由を調べてゆくうちに、自爆テロ報道そのものが本当なのだろうか?という疑問さえわいてきました。
ロシアとその衛星国からなっていたソビエト連邦が崩壊した後、衛星国の多くは独立しましたが、チェチェンはロシアの反対で独立できませんでした。なぜロシアが反対したのかというと、チェチェン地域が軍事的に重要であること、パイプラインがチェチェン地域を通っていること、さらにチェチェンの独立を認めると、その勢いで他の民族国家も独立してしまいかねない、という事情があるようです。
チェチェンはロシア連邦に属しているため、左の地図では国境は描かれていませんが、首都グロズヌイを含む狭い内陸にあります。南にはアゼルバイジャンのバクー油田があり、パイプラインがそこから北に向かって引かれチェチェンを通っている、とのことです。
このバクー油田はロシア最古の油田であると同時に、ダイナマイトを発明したあのノーベルが開発した油田なのだそうです。
ちなみに、チェチェンとイラクを隔てる距離は800kmくらいですが、800kmと言えば、東京と福岡、あるいは東京と札幌くらいです。この狭い地域に石油と、利権と、紛争が集中していることが解ります。
そういうわけだからチェチェンには申し訳ないが、ロシアのために独立はあきらめてくれ、というわけなのでしょう。女性から持ちかけられた別れ話にカッとなり、殺人事件を起こしてしまう男のように、ロシアは独立したがるチェチェンと二度も戦争という名の大量殺戮を行ってきました。このため、反対組織に男たちはあまり残っていないとも言われています。
イラクを攻撃した米国にはイラクが大量破壊兵器を持っているから、という頼りない大儀がありましたが、ロシアのチェチェン侵攻にはそうした大儀さえ無いようです。ただひたすら、大国ロシアには逆らうな、ということでしょうか?
フランスの雑誌ル・モンド電子版によれば、チェチェンをロシアの一部とするかどうかを問うチェチェンでの国民投票で、ロシアは賛成多数をでっち上げた、と伝えています。エリツィン、プーチン大統領らがチェチェンに対してフセイン並の圧政を行っていたとは知りませんでした。
国連はこれを黙ってみているのか、と言えば、だらしないことにその通りのようです。というのもチェチェン入りした国際機関のスタッフが誘拐される、という事件が起きていて、正直なところ、チェチェンには関わりたくない、というところなのかも知れません。
しかもその誘拐は、ロシア側がチェチェンの仕業であるかのごとく装っている、とも伝えられています。そのような状況であるにもかかわらず、ロシアの野外コンサートで自爆テロが行われ、16人が死亡した、というニュースだけを聞くと、チェチェンは滅ぼされるべきテロ国家なのか、という印象を持ってしまうわけです。
もっと国際社会は、自分たちの国チェチェンに関心を持って欲しい、そういう願いも込めて残された女性たちが自爆テロを行ったのかも知れない、と感じました。各国の代表がチェチェン問題に対してどのような発言をするか、注視したいところです。
-2003/7/6
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