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スウェーデンの先進性はどこからきているのか?


 日本で年金が問題になると、「スウェーデンの年金はこうなっているぞ」という声がどこからともなく聞こえてきたり、人口減少時代に入って少子化が問題になると、「スウェーデンの少子化対策」が紹介されたり、さらに「育児休業制度」でも、スウェーデン企業の育児休業制度が紹介されたりします。

 何ゆえにかくもスウェーデンは、先見性があるかの如く一歩先んじているのか、について今回は考えてみたいと思います。

 スウェーデンで福祉が充実しているのは、国民が高い税金を収めているからだと、されています。よく言われる『高福祉高負担』です。しかし日本ではこうはいきません。日本人なら、高負担よろしく税金が上がれば、次の選挙で税金を上げた政治家を狙い撃ちし落選させてしまうからです。しかしなぜ日本では税金を上げるのが難しいのでしょうか?

 増税が自分たちのためになる、と判断できれば、増税賛成の候補者を落選させたりはしないはずです。落選させてしまうのは、政治や行政を信用していないからだろうと思います。いくら税金を収めても、それが年金や子育て支援など、自分たちのところに戻ってくるような気がしない、というわけです。

 きっと役人たちは、自分たちだけの未来の福祉のために、特殊法人とか関連団体などをつくって天下り先を確保しようと、人生の大半の情熱をそのために注いでしまうだろうから、行政は残りの抜け殻がやることになる。それじゃ信用できるわけがない。国や地方自治体は、税金の無駄使いばかりしている。

 しかし、これは政治や行政に対していつの間にか作り出されたイメージでしかありません。実はちゃんと働いているのかも知れません。もしかしたら、スウェーデンの職員よりちゃんと働いているのかも知れないのです。しかし、それは分かりません。なぜなら、日本は公開度が低いからです。あるいは、わざと難解な行政用語を使って、情報にアクセスしようとする人を弾き飛ばしてしまうからです。

 なぜ日本の情報公開度は低く、スウェーデンは高いのでしょうか?日本とスウェーデンを比較してみたいと思います。

 スウェーデンは非同盟中立で少数与党とは言え社民党が政権をとっているからでしょうか?スウェーデンの人口は約900万人ですが、人口規模が関係しているのでしょうか?いずれもピンときません。

 スウェーデンの主な産業はボルボ(Volvo)に代表される機械工業、エリクソン(Ericsson)の通信機器。国民の豊かさを示す一人当たりのGDPは38500ドルで世界でもトップクラスです。スウェーデンが、GDPを支える高い技術力を持っているのは、第一次・第二次世界大戦とも、中立であったがゆえに戦争に参加せず被害も少なかったことが要因だとされています。この点は、第二次大戦後の日本が軍事にリソースを注がず経済優先できたことに通じるものがあります。

 しかし、スウェーデンには日本にはない特徴もあります。それは、国民の過半数が公共部門で働いている、という点です。高い税金を納めても、それは自分たちの給料の一部になって戻ってきます。

 スウェーデンが中立政策をとってきたのは、西側ヨーロッパともロシアとも地理的にほぼ等距離にあり、中立にならざるを得なかった、という事情があるように思います。いずれの陣営(体制)にも頼ることができないとすれば、国民に情報を公開し政策を支持してもらうしかありません。スウェーデンの先進性もこのへんからきているのかもしれません。

-2006/5/27


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