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なぜイラク攻撃を巡って意見が分かれるのか?


 20日、最後通告の時間切れから1時間半後の11時半に米英軍による攻撃が始まりました。世界的な反戦ムードを意識してか攻撃はピンポイントで行われているようです。今回のイラク攻撃では各国で支持と不支持に分かれました。その理由について考えます。

Iraq map 病的とも言えるアメリカにはついてゆけない、と考えたとしてももう一方の世界秩序のよりどころとなるべき、国連も一貫性に欠けるようです。査察に抵抗するイラクには、このままではとんでもないことになるぞ、と決議しているためイラク攻撃に正当性を与えてしまいます。(#1)

 ところが、独立国であるイラクの政治体制を変えようとする働きかけは国連の不干渉原則に反しています。(#2)つまり、米英によるイラク攻撃に対して国連は”YES”と”NO”の両面の意志表示をしていることになります。

 こうなると裏と表のどちらの論理を優先するかは各国の事情によって違ってくることになります。たしかにイラク攻撃支持派は米英にお世話になっている国々やこれからお世話になろうと考えている国々です。反戦の理想に燃える国々がイラク攻撃に反対しているわけではありません。

 イラク攻撃に反対している北朝鮮や中国が、支持している日本や韓国より”人道的”な国だとはどうしても思えないからです。フランスが反対するのは独走するアメリカへの反感からだろうと思います。

 国連憲章で禁止されている独立国の体制崩壊についてもう少し考えてみたいと思います。どんなにイラクや北朝鮮の体制が国民に圧政を強いて経済的な自立のできない状況にしているとしても、他国がその体制をひっくり返すことは禁止されています。

 「人肉を食べたらしい」という噂が流れるほど飢えている人々が何百万人もいるとされる北朝鮮でも国連にできることは食料援助くらいのものです。この援助は尊い行為であるはずなのですが、皮肉にも土を耕し種を蒔き、水を引いて雑草を取ると言った地道な農業をする意欲を奪ってしまうことが多いようです。根本的には政治のしくみが変わることが必要で、そうでなければ飢えは永遠に無くならないことになります。

 日本にも暴力や虐待を抱えていたり、信じられないことに飢えに苦しんでいる家族さえあります。それは”ひとんち”のことでもあり、お節介は難しいところです。それでも虐待で亡くなる幼児が増え、家庭内の暴力に苦しむ人たちが無視できないくらいに増えると、こんどは放っておくことが”罪”となり、公的機関で保護する法律のしくみができています。

 家庭内のもめ事を暴力や虐待という手段で解決しようとすると、より大きな不幸に陥るように、どんなにその国の人たちが圧政で苦しんでいたとしても、そのもめ事を解決しようとして武力を用いると、やはりより大きな被害を生むことになります。

 これはより良くしようと考えて武力を用いることが”より良くすること”にはならない、ということを意味していることになる訳ですが、日本は武力を用いるアメリカを支持しています。日本の立場を考えればそれも現実的な選択だから仕方がない、と考えている人も多いと思います。

 米国に反対したいと考える理想的な姿と、結果的には米国を支持している現実の日本の姿には大きな落差があります。国民の一部が反戦のパレードに参加していても当然だと思えますが、日本政府がフランスと同じように、米国に反抗したら逆にこの先不安になるはずです。米国に反抗して戦争に突入した戦前の歴史が頭をよぎるからです。それにしてもこの落差はなぜ生じるのでしょうか?

 国として責任を持って反戦を叫ぶためには、米国に頼らず自分の国は自分で守るための”武力”と、それをコントロールするしくみが備わっていなければならない、ということなのでしょうか?だとすれば皮肉な話です。あなたはどう思いますか?

-2003/3/21-22

●データ

#1 Recalls, in that context, that the Council has repeatedly warned Iraq that it will face serious consequences as a result of its continued violations of its obligations;(・・・義務違反を続けると深刻な事態(serious consequences)に直面することになる、と安保理は繰り返しイラクに警告し続けてきた・・・国連決議1441)

#2 Recalling its resolution 2734 (XXV) of 16 December 1970, containing the Declaration on the Strengthening of International Security, and its resolution 2131 (XX) of 21 December 1965, containing the Declaration on the Inadmissibility of Intervention in the Domestic Affairs of States and the Protection of Their Independence and Sovereignty, (・・・各国の国内問題における内政不干渉と国の独立および主権の宣言を含む決議・・・)


●参考リンク





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