”このままアメリカについてゆくとやばいような気がする・・・。とは言っても、アメリカを敵に回すのは危険すぎる。”そんなことを考えながら、イラクやテロや中東のニュースを眺めています。カリフォルニア、ハワイ、日本と、アメリカの西部開拓は海を越えて日本に至り、事実上日本はアメリカに占領されている、と考えてもよいくらいです。
このような状況からは抜け出せないのでしょうか?
世界の中で、他の国を引っ張ってゆくような勢いのある国をヘゲモニー国家と呼ぶそうですが、20世紀は間違いなくアメリカ合衆国がそうでした。だから、アメリカを敵に回した国は、ことごとく敗北したのです。しかし、そのアメリカもベトナム戦争以降、ゆっくりと力を落としているようです。
そのアメリカの前の19世紀はイギリスで、さらにその前の17世紀はオランダだったと言われています。徳川家康が江戸に幕府を開いたころ、オランダ全盛の時代で、アムステルダムを中心に栄えていました。江戸時代の日本はそのオランダとだけ、長崎の出島を通して細々と貿易を続けていたわけです。
ところが、ご存じのようにその間にイギリスは産業革命を迎え、江戸時代後期にはイギリスが主導権を握る世界に変貌していました。日本はイギリスから独立したアメリカにたたき起こされるように開国したわけですが、明治以降はたしかにイギリスについていたのでさほど失敗はしませんでした。日露戦争にも勝利したし、第一次大戦にも参加して漁夫の利を得ました。
ところがその頃にはもうイギリスの時代は終わろうとしていたのです。日英同盟はイギリスが力を失ったからこそ日本と手を結んだのだとも言われています。しだいに力が衰えてゆくイギリスを睨みながら、日本はイギリスの次はドイツだと判断を誤ったのかも知れません。日独伊三国同盟を結び、イギリスとアメリカを敵に回し、太平洋戦争で大敗しました。
「カッコつけて国際連盟から脱退しアメリカを敵に回したから失敗した。」そう思っている日本人は多いはずです。ところが、「アメリカを敵に回すと不幸になる」と考えている国がもう一つありました。それがイギリスなんだそうです。
一国が世界で主導権を握れるのはせいぜい一世紀くらいだ、という仮説が正しいのなら、やはりアメリカの時代は終わろうとしているのです。ヨーロッパは今から50年くらい前にヨーロッパ共同体の準備を始めていました。それでもEUはまだ道半ばで、成熟するにはあと50年はかかるだろう、と一世紀のスパンで進めているようです。
「アメリカを敵に回したのでろくな目には遭わなかった」、との経験を抱えながら、一方では急に方向転換を図るというのでは、日本が空中分解してしまいそうです。だから、今この瞬間がアメリカ一辺倒なのはやむを得ないのです。しかし、これから50年先、100年先のヘゲモニー国家はどこなんだろうか、と考えながらアメリカや周りの国々を眺めれば、50年後くらいにはアメリカ一辺倒から抜け出せるかも知れません。
-2003/11/25
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