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シェーン・バッサの日々


 シェーンバッサとはドイツにある数ある通りの名前の一つです。無理矢理日本語に直せば”清水通り”ということになります。シェーンは素晴らしく、清らかであることを、バッサは水を意味します。こうした通りの名前の由来は万国共通であるような気がします。おそらくこの地にもかつては綺麗なわき水があったのでしょう。

 そのシェーン・バッサ通り沿いのあるホテルに3週間ほど滞在したことがありました。もちろん仕事です。そのホテルは一階のなんでもないような入り口から入り、最上階にだけ向かうエレベータに乗ります。最上階はフロントになっていて、笑顔が気持ちを和ませるドイツ女性が迎えてくれました。そこで部屋のキーを受け取ると、今度は別のエレベータを使って下の階に降り、自分たちの部屋に行くことになります。こうなっているのはどうも防犯のためだというのですが、そう言えば、日本でもこんなホテルは有りました。熱海の崖っぷちに立てられたホテルです。そこも最上階から入ったような気がしますが、それは防犯のためというより、ただその方が便利だったからと言う気がします。

 そのホテルのフロントの横はバーになっていました。ドイツと言えばビール。同じフロントの女性がそのバーでビールをついでくれます。どうせ頼むならアルトビールよりライトビールが良いと同僚は言っていました。アルトビールは砂糖を焦がしたような色と味でアルコール分が多く、味にも深みが有りますが、泡が少ないのが欠点だと言います。

 一方、ライトビールは日本のビールに近く、味もさっぱりしていてアルコール分も少ないのですが、泡が多いのが良いというのです。それはどうしてなのかと言えば、樽からジョッキに移すときに泡が多ければその泡が大人しくなるまで待ってから、継ぎ足すために全部つぎ終わるまでに時間がかかり、おかげさまでその間に女性と話が出来るからと言っていました。ドイツ語はもちろん、たいして英語もしゃべれる訳でもない人でもそんなことを言っていたということはよっぽどその女性の笑顔が良かったのでしょう。

 そのホテルにはレストランがあり、決まった曜日にシェフがやってきて食事を楽しめました。一度食べたことがあります。頼んだステーキの量は多く、おまけにチーズがかかっていて、さすがに食べきれなかったことを良く覚えています。どこの国でも残すのは失礼だろうと思って食べたもののやはり食べきれないのです。

 ドイツ人の食事の量が多いのはおそらく体格のせいでしょう。同じシェーンバッサ通りをある休日にたまたま一人で歩く機会がありました。無謀にも一人で出掛けた編者は道に迷わないようにするために、その通りをただひたすら真っすく歩き始めました。その通りは実を言うと退屈な通りでした。ところが、ある十字路についたとき、通りの向こう側に何となく生活臭さを感じるところがありました。

 そうです。そこはどこにでもあるスーパーでした。迷わず編者はそのスーパーに入りました。実はパジャマを持ってこなかったことに気がついた編者はパジャマを探し始めました。奥の方に行くとワゴンの上に特価品らしい衣類が置いてありました。そのなかについにパジャマを見つけました。縦縞でした。ドイツ人は背が高いので、背が高い方に属する編者なら、Mがちょうど良かろうと思ってそれを手に取りました。

 次に選んだのが爪切り。たまたま爪切りを持ってきていなかった訳です。ずいぶん大きく見えましたが、とにかくそれも手に取りました。あともう少し買ったような気がしますがよく覚えていません。

 日本のスーパーと同じように列の後ろに並んで待っていると自分の番がやってきて、品物を出して、レジスターに打ち込んでもらいました。レジの女性は25歳くらいでしたが、不思議なことにお金を払っても、袋をくれようとしません。これでは帰れないと感じた編者は無理矢理そのレジの女性に袋が欲しいと訴えました。

 ところが日本語はもちろん、英語も通じません。スーパーの袋をバッグというと鞄になるし、ビニールといっても通じませんでした。最後の手段はジェスチャー。それで、青っぽいビニールの袋をもらって帰りました。

 それから帰って驚いたのがパジャマ。要するに大きいのです。ドイツでMは最大(Max)を意味するのでしょうか?(もちろん冗談です。)しかし、パジャマならそれもご愛敬。そのとき一緒に買ったワイシャツはさすがに使い物に成りませんでした。それでも重宝しているのが、爪切り。足の爪も楽々切れるほど大きく使いやすい。この爪切りは今でも使っています。

 シェーンバッサの日々のなかでもう一つだけ書いておしまいにします。ホテルの近くにイタリアンレストランがあるというので、休みの日のお昼に同僚らとでかけました。その途中で、市場が開かれていました。

 そこにはドイツ人と言うより、アラブ人かインド人のような顔をした女性達が人形その他の品物を並べて店を構えていました。目がくるくると動く人形です。前日にドイツ語の会話をかじった編者はその市場の女性に、おいてある人形の値段はいくらなのかとドイツ語で聞いたつもりで話しかけました。ところが、その女性は値段以上のことをまくしたてました。

 編者に理解できたのはこの女性が真剣だと言うことだけでした。残念ながら真剣に何をしゃべっているのかが理解できません。横にいた同僚が人形を買いたいのならもっと綺麗なやつがいくらでも土産物屋に売っているというので、その場を去りました。

 そうやっているうちにシェーンバッサの日々は過ぎ去りました。この通りがドイツのどのあたりにあるのかさえ、実はよく調べていません。シェーン・バッサ・シュトラッセとたしかその頃見たた地図には書いていました。


 -2001/11/2




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