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なぜ飢餓(きが)はなくならないのか?


 北朝鮮の亡命事件で飢えている人々がいることを改めて知ることになりました。ワールドカップで日本が勝ち進んでいるためついついサッカーの方に目を奪われてしまいますが、終わればまた北朝鮮問題が話題に上るようになるだろうと思います。

 今週の月曜日から木曜日までの四日間、ローマでサミットが開かれています。それは世界食糧サミットと呼ばれ、今回で2回目です。一回目は北朝鮮の飢餓が話題になった1996年に開かれました。その五年後の2001年に第二回目が予定されていましたが、例の9.11テロ事件のために延期されていたようです。

 1996年に第一回が開かれたとき、183カ国の首脳がローマに集まり、2015年までに慢性的な栄養不足にある人々(飢餓人口)を半分に減らそうという目標が立てられましたが、その実現の見込みは絶望的だと伝えられています。一日に摂取カロリーが300キロカロリー以下の人は世界中に8億人、それを2015年までに半分の4億人にしようとしているわけです。大人が一日に必要な最低のカロリーは1500キロカロリーだと言われています。

 どうして飢える人がいるのでしょうか?

 全世界で生産されている食糧は実は120億人分あるそうです。これは一人が2700キロカロリーを消費すると仮定した場合です。会場に空席があるのにファンが中に入れなければ、ワールドカップの運営方法に腹が立つこともあるはずです。世界中に食糧は有り余っているのに、8億人もの人々が飢餓状態にあり、2000年の一年間に3600万人が栄養不良が原因で死亡しているという事実は驚くべきことです。

 サッカーでは暴動が起きるのに、飢餓状態にある人はなぜ暴れないのでしょうか?腹が減りすぎて動けないと言う事情もあるでしょうが、どこに怒りをぶつけたら良いのかさえ知らないのではないかと思います。食糧を与えられない人の多くは教育も与えられず、実は食糧は余っているという事実も知らず、それが書いてある書物を読もうにも文字が読めなかったりします。発言の機会どころか知ろうとする気力も機会も与えられていないと言うことになります。

 食うことに困らなくなった日本人の多くは、相変わらず栄養不足で亡くなる人が一日平均10万人もいるという事実を知れば、後ろめたさを感じるはずです。ところが、この時代日本人だって生きてゆくのは大変で、飢えている人のことばかり考えているわけにはゆきません。

 だからと言ってここで終わってしまっては日本人は自分勝手なろくでなしということにになります。そこで、国民は代表者を選び、法律を作り、発展途上国への援助を始めました。今の日本は世界に誇る援助大国です。例えばフランスを破ったセネガルにも援助を行っており、その額はフランス、ドイツについで3番目です。

 アフリカの国の中でもワールドカップに出場するような国々は比較的豊かな国です。ボールを蹴る余裕があるという訳です。問題なのはスーダン、エチオピアなどです。飢餓の原因の9割は人為的なものものだとされています。

 アフガニスタン、スーダン、コンゴ、エチオピアなでは内戦、ケニア、タンザニア、アフガニスタン、モザンビーク、北朝鮮、カンボジア、ウガンダ、バングラデッシュ、ラオス等は干ばつや洪水が原因となっています。しかし、こうした自然災害も貧困であるために木を切りすぎることから起こる人災であるということも良く知られるようになってきました。

 増えてばかりの飢餓ですが、できることがあるとすれば、それは援助の効率を上げることと、そのデータを公表することではないかと思います。世界食糧計画という組織が自分の組織の効率を公表しています。

 2000年の実績を見ると総支出は約1800億円。その9%が組織を維持するための経費として使われているそうです。つまり、WFPの援助効率は91%ということになります。

 北方領土に援助を行ったはずの団体がありましたが、使ったお金に対してどのくらいのお金が実際に北方領土に住む人のためになったのかを調べれば、やはりここでも援助の効率が分かります。

 国は依頼人としての国民から頼まれたことを代わりに実施する代理人です。代理人がきちんと働いているかどうか、国民にチェックする機会が与えられる必要があります。

 国民は依頼人であると同時に、たいていはどこかで代理人の役目も果たしています。自分がきちんと働いているかどうか公表するのは気持ちの良いものではありませんが、隠せば隠すほどその組織は早く腐敗が進み、結局働く場所がなくなってしまうというのが世の習いのようです。

 こうした効率という考え方は金を集めてそれを保険金として加入者に戻す比率が保険会社の質を決めたり、パチンコ屋なら出の良さを決めたりします。その組織が環境とか福祉のためにあっても、あるいはギャンブルのためにあっても、組織そのものが効率が悪いと誰のための組織なのか分からなくなります。100億円集めて99億円を社員や役員の給料に使い、残りの一億円を援助に使う援助団体がないとは言えません。

 こうした非効率が飢餓が無くならないもう一つの理由ではないかと思います。

-2002/6/13


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