長野県議会による知事の不信任案が可決され、県議会の「田中知事とはやってゆけない」という明確な意思表示がされました。これまで、知事の不祥事のために不信任案が可決されたことはあるようですが、政策の違いによる不信任は前代未聞です。
この件で長野県政は県民だけではなく全国から注目を浴びることになります。これは次の選挙の投票率が上がることをも意味しています。一般的に投票率が上がれば上がるほど、アンケート調査の結果などの民意（田中知事が有利）に選挙結果が近づくことになります。大多数の住民が望む議員や知事が選ばれるためには投票率が上がる必要があります。
県議員たちは自ら進んで県知事の不信任案を提出したわけですから、これによってもたらされる結果についてはなんらかの勝算があるはずです。はじめから負けと決っている勝負をするとは思えません。もし負けと分かっているのなら、自爆テロと同じくらいに深刻です。それでも自爆テロなら死んだ後天国にゆけると教えられていますが、議員は選挙で落ちればただの人になるだけです。
次回定例選挙から県議会の議員定数が削減されるため、今のうちに選挙を行い延命をはかろうと考えているのではないかという噂もあるようです。しかし、アンケート調査からもわかるように、現職の県議員は不利で、落選する可能性があるように思えます。ところが、選挙までの期間が短すぎて対立候補が間に合わないだろうから再選される可能性が高いと読んでいるというのです。もしこれが本当だとしたら、たった数年の議員の延命と引き替えに、長野県民のプライドは傷つきます。
国の税金を地方にもってきて公共事業をやることが悪いことのように言われることがありますが、知事や県議員がより多くの税金を地元の県に持ってこようとするのは当然であって、それは彼らの重要な仕事の一つです。ただ、その税金を使って何をするかは重要で、長い目で見たときに本当に県のためになるかどうかはよく考える必要があります。長野県が誇る自然が破壊されれば、観光客はそっぽをむくようになり、観光資源やそれによる観光収入を失い、結局損をすることになります。
こうしたストーリーを県議員の人達が知らないはずはありません。しかし、知っているということと納得できるということは別です。頭では分かっていても、気に入らないことは多くあります。知事はテレビに出演し、パネルやデータを持ち出して、うまい具合にプレゼンテーションをしてみせますが、県議員にはそれができません。
今回の、不信任案提出は知事だけではなく、これまで自分たちがやってきた過去すべてを壊すためにやったのではないかという気がしています。生まれ変わるためには一度死ななきゃならないとも言いますから、これで良かったのかも知れません。
-2002/7/8-10
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