ヒットラーと言えば、第二次大戦中に総統となりユダヤ人虐殺などを行い、敗戦直前に自殺したことで有名ですが、彼はナチスの前身、ドイツ労働党に参加する前は画家だったそうです。
ところが描く絵は風景画ばかりで、しかもあまり売れなかったとか。もし売れていたら世界は変わっていたに違いありません。彼はなぜ人物画を描かなかったのでしょうか?おそらく描けなかったのではないか、という気がしています。
デジカメで写真を撮る場合もそうですが、人物には顔が付き物です。その顔には表情があります。そしてその表情は、視界に入るあらゆるものに反応しています。もちろん、カメラマンや画家にも。
人物を撮るカメラマンの大半のエネルギーは対人関係に費やされる、と言われるくらいです。被写体となる人物の表情が、カメラマンの心の内面を映してしまう、からです。
ヒットラーの内面はどうだったのでしょうか?彼については多くの分析がなされているようですが、ヒットラーは、自分の風貌に劣等感を持っていたこと、父親が規律に厳しく殴られて育ったことから自分は価値の無い人間だと考えるようになったこと、さらに、自分にはユダヤ人の血が混じっているので邪悪だと考えていたようです。
いずれも、客観的に考えれば、それほど劣等感を持つ必要のないことですが、本人にとっては重大で、人格を大いにゆがめてしまい、自分の内面を覗くことにもなる人物画が描けなくなってしまった、と考えられます。
逆に良い人物画を描いたり、うまい人物写真を撮るためには、並の対人関係ではダメで、大いに修行して自己の内面を磨く必要がある、のかも知れません。
-2004/6/7
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