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どうして名刺を折り曲げたのか?(1)


 新知事のことを気に入らない長野県の局長は受け取った名刺を折り曲げ、その応対が予想以上の反発を招いているようです。そのニュース報道は http://news.yahoo.co.jp/headlines/mai/001028/dom/06450000_maidomm212.html にあります。

  • どうして反発を招くのか?
     私自身も最初にこのニュース報道をラジオで聞いたときには腹が立ちました。翌日、その局長の態度に対して1000件もの苦情の電話があったと聞いて、やはり同じように腹が立った人も多かったのだろうと思いました。その後、これに関するニュースや、Yahooの掲示板などを覗いて見て最初は我が意を得たりと喜んでいたのですが、掲示板を読み進んだり、調べていくうちに、複雑な気持になったのは確かです。

     反発を招いたのは局長を含む、役人(公務員)に対する不信感がもともとあってそれが今回の騒動で噴出したという気がします。不況で苦しんでいても税金を納め、そのお金は公務員の給料になります。今の時期はリストラのない日本の公務員をうらやましがる人も多いでしょう。選挙戦で、副知事を推していた主流派(局長等)は田中知事候補の女性問題を非難していましたが、それに対して田中候補は自分の稼いだお金で女性と楽しい時間を過ごすことがどうしていけないのか?と反論しました。その報道を聞いたときなるほどと思いました。ちょうど、公金を使って私的な海外旅行を楽しんだ人が非難されたばかりの時期で、田中候補の意見には説得力がありました。また長野オリンピックでは多くの感動を呼び起こしましたが長野県側の運営についてはかなり問題があったようです。長野県は41年も副知事が知事になるという信じられない状況であったことなど、反発を招く背景があったと言えます。田中知事から受け取った名刺を折り曲げるという行為はその立場や報道カメラマンがその場いたという状況を考えるとあまりにも素直に自分の感情を表現しすぎたと言えます。

  • どうして折り曲げたのか?
     当の局長は定年間際と言う年齢です。副知事を推していた立場からすると、急に自分の”殿様”が自分より若い、文化人だということになって気に入らなかったのでしょう。知事選が終わったらすぐに、新しい知事に擦り寄っていくということが出来ない人なのかもしれません。知事になるはずだった副知事に今でも忠誠を誓いたいのだとしても、新しい”殿様”に失礼な態度をとるというからにはかなりの覚悟が必要です。辞職する覚悟で行った行為なら賛同する人もいるでしょう。でも、もう遅いという気がします。

  • インターネットが反発を増幅する
     掲示板を見るとよく分かりますが、あっという間に情報があつまります。集まるべきではない情報まで集まってしまいます。抗議の電話をかけたいと思っても実際に実行に移す人は一部分の人でしょう。その電話番号も分かります。反発する人は同じように反発をしている人がいるという事をネット上で確認することでさらにその勢いを増し、この動きは止まりません。東芝暴言事件や、いじめで自殺に追い込んだ加害者らの家族がその地域にいられなくなったことなどを思い出します。

  • 取り返しがつかない
     怒りはその人の最悪の人柄が表に出てしまうので気をつけなければならないと言われています。そして、その結果、予想以上のものを失う結果になります。後で冷静に考えれば分かることでも、我慢することを訓練していないとこんなことになってしまいます。局長はこらからの数十年、どういう生き方をしていくのでしょうか?

  • 役人の態度は改まるのか?
     局長のような考え方の人で、同じような態度を取る人は多いと聞きます。今回の件で少しは良くなるのでしょうか?東芝暴言事件後、自分の属する会社でも他人事ではないという危機感からカスタマー・サービスの体制が強化されました。たらい回しになら無いように窓口を一本化したり、とにかくすぐに対応できるように徹底したり、社内でも変化がありました。企業イメージの悪化は予想以上のダメージになります。民間企業の場合は、競争相手が多く、どこどこの製品が危ないといわれると別のメーカーの製品を買います。しかし、県会議員や、知事は選挙で選ぶことができても地方自治体のサービスは選べません。どんなに優れた人が希望に燃えてその中で働いていても、独占は腐敗を招きます。まじめに働いている公務員が気の毒です。

    -2000/10/29

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