最近良く聞くのが構造改革という言葉とセイフティネット【safety net】という言葉です。もともと、セイフティネットはサーカスで披露される綱渡りや空中ブランコなどの曲芸を万が一失敗したときに事故が起きないようにひいてある安全のための網のことだそうです。
実は構造改革を行うまでもなく、国によって憲法などの基本法で国民の最低限の生活は保障されています。もし、それが保障されていないとすれば為政者は憲法違反を行っていることになります。
日本の憲法にはその第25条に生存権、国の社会的使命という条文があって、その第2項に”国は,すべての生活部面について,社会福祉,社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。”とあります。
日本はどんな社会主義国よりも社会主義的だと言われるときもあります。それは金持ちが海外に逃げ出したくなるほど多くの税金を取り、その分お金持ちではない人からはあまり取らないという、より”平等”な国になっています。これは富の再分配であって、ある程度成功していると思います。
ところが残念なことに、働いてより高い価値を生み出している人々から税金を取って、その分あまり働いていない人々に税金を多めに配るという”能率の再分配”まで行っているためにお金が足りなくなって、肝心なセイフティネットが脅かされています。
これまで価値を生み出し、税金を納めてきた人々は、不況が続いて仮に職を失った場合でも、日本国民として憲法にうたわれている義務を果たしてきたわけですから、権利としての生存権を国から与えられるのは当然すぎるほど当然です。
能率の再分配による不満は構造改革によって改善されると思いますが、セイフティネットが先でなければいけません。サーカスが始まってから網を用意していたのでは間に合いません。それを間に合わせることが、編者も応援している小泉総理の政治生命を守るためのセイフティネットにもなると考えています。
これが必要だと考えるのは、たとえ反対によって構造改革を断念することになったとしても、政治生命さえ残っていれば、次の解散総選挙で政界再編成によってまた別の枠組みで小泉内閣が蘇って構造改革を再スタートすることが可能になると考えているからです。
-2001/11/18
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