のどが渇いて冷蔵庫を開けたとき、目に入ったのはたしか一週間前に買った牛乳。一気に飲んでしまいたいところだが、腐った牛乳を飲んで腹を下したんじゃあつまらない。こんなときに頼りになるのが嗅覚です。牛乳パックに鼻を近づけ匂いを嗅げば、飲むべきか捨てるべきかを判断できます。
こんな経験がある人なら、嗅覚は生きてゆくために絶対に必要だ、と思うに違いありません。それならば、気になる匂いは、気にすべき匂いだということになるのでしょうか?
近くに寄せるべき物はかぐわしく、遠ざけるべき物は臭い、という具合に、匂いでその価値をかぎ分けてきたのだとしても、、その嗅覚が時代の流れに追いついているのかどうか、が気になります。
アメリカのファーストフードはその量が日本の1.5倍はあるとされており、そんなものを食べ続ければ誰だって太って病気になるに決まっている、という話をよく聞きます。しかし食べている人にとっては、ハンバーガーもポテトも、きっと食すに値する程”香ばしい”のでしょう。つまり、遠ざけるべき食物を香ばしいとかぎ分けてしまう、誤動作が起きているのです。
長い間満たせなかった食欲が、ここ数十年で急速に満たせるようになったために、嗅覚システムが変化に追いつけなくなり、誤動作を起こしているのでしょう。
匂いが気になるときというのは、この誤動作を防ぐために、時代の変化をかぎ分けようとしているからかも知れません。
-2005/6/2
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