今回のトリノ冬季五輪のメダルの目標は五個だったそうですが、ご存じのように24日現在で荒川静香選手の金一個のみです。五輪開催前の海外メディアによる日本のメダル獲得予想は、銅一個ないし二個だったそうで、鋭い予想をしています。
二年前のアテネ五輪で日本がメダルラッシュに湧いた理由として、@前年に国立スポーツ科学センターが設立され選手強化に成功したこと、Aスポンサーがつき選手らに資金が投入されたことなどが挙げられています。個人的にはBとして、当時は景気が悪かったので選手や関係者のエネルギーが競技に集中できた、という点を挙げたいと思います。
@については五輪開催のわずか一年前で、いかにも政策誘導的な分析だと思います。Aのスポンサーはバカにならないと思います。Bがもし真実なら、これからは景気が更に良くなると予想されているだけに、今後のメダルは、ますます期待できないことになります。
こう考えてくると、今後のキーワードになりそうなのは、『スポンサー』ではないでしょうか?今回金メダルが獲れたフィギャースケート界はスポンサーがつくことでも有名です。
一方、たとえば掃除のお姉さんみたいな人たちが、丸くて重い石を氷の上で滑走させるカーリングという競技の場合は、資金的には恵まれていないようです。日本には、企業に限らず個人でも、カーリングのような競技に魅力を感じ、支援したいと考えている人も多いはずです。しかもその中には、金の使い道に困っている人たちもいるはずです。しかしなぜ、日本では支援のシステムがうまく働かないのでしょうか?
それは寄付に対する日本の税制にある、と思います。税金に獲られるくらいなら、と好きな選手や団体に寄付することができるのが、たとえば米国の税システムです。寄付金の分だけ税の控除があるようです。
簡単化のために、税率を5割として計算してみます。たとえば日本で1億円の収入がある人がある団体に5000万円の寄付をしたとすると、収入は1億円、支出は寄付金に5000万円、税金が5000万円なので手元には一円も残りません。これでは寄付を躊躇(ちゅうちょ)するのも当然だと思います。
一方控除がある場合、5000万円寄付すると、1億円マイナス5000万円で、収入は5000万円と見なされるため、税額は2500万円、手元には2500万円残る計算です。なぜこうした税制に変更できないのでしょうか?
聞いたところによると、役人は自分たち(税金)を遠さずに金が団体から団体、あるいは個人から団体などへ流れることを嫌う傾向にあるそうです。たしかに、一度税金として納められれば、それは自分たちの給料の元にもなるので、手放したくない気持ちはよく分かります。したがって、役人の方から寄付金に対する税制を変えようとはしないはずです。
となると、国会議員が法律を作って制度を変えるしかありません。これについては、国会議員や政府にもメリットが有ります。たとえば、政策などで失敗しても、スポーツ選手らがメダルを獲るなどして活躍してくれれば、国民の多くはそこでストレスが発散されるため、政府への批判が減ると予想されるからです。また経済効果もバカになりません。
以上、トリノ五輪で一番感じたことを書いてみました。
-2006/2/24
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