野球のできる中学生を高校が優遇し優先的に入学させる特待生制度は、ごくあたりまえの制度のように思います。なぜかというと、この制度によって、生徒側は進学の選択肢が増えることになるし、高校側にとっても、優秀な生徒を確保し、他への流出を防ぐことができるからです。

　しかしこの特待生制度はアマチュアの規定に違反するらしいのです。アマチュアとは、たとは野球を職業としない選手のことで、高校生もアマチュアです。ただし、アマチュアの規定といっても、国の法律や自治体の条例などではないので、万引きや自転車泥棒のように、違反しても逮捕されることはありません。

　アマチュアの規定とは高野連のルールのことなので、これに違反すると高野連主催のイベントに出場できなくなることが考えられます。つまり、少なくとも特待生に該当する生徒は高野連のルールに違反するため、高野連主催の「甲子園で行われる春と夏の野球大会」には出場できない、と考えるのが自然です。

　しかし、高野連とは何の関係もないたとえばアメリカのハイスクールが、「君は野球が上手いから奨学金を出してあげよう。高校を卒業したら大リーグを目指せばいいじゃないか」、と誘ってきた場合は、何の問題もありません。また日本国内でも他のスポーツの特待生なら問題なしです。

　優秀な選手が日本の高校ではなくアメリカの高校に流れたり、あるいは他のスポーツに流れるように誘導しているようにも見えます。これは優秀なプロ野球選手が大リーグに流れる傾向に続くもので、もしかしたら高野連のトップには、日本の野球に興味のない人たちが相当数いるのかもしれません。

　それにしても特待生制度を禁止したままで、春と夏の甲子園が成り立つのかどうか疑問です。「高野連が特待生禁止を撤回するのは時間の問題」のような気がします。

-2007/4/30