生の音楽番組であらかじめ録音した声が流れることがありますが、たいてい口パクと分かるものです。もちろん同じ歌手が歌い、タイミングも合わせているはずなのに、なぜバレてしまうのでしょうか?
いろいろ事情もあるでしょうから、口パクでもいいと思いますが、不自然に聞こえるのは困ります。なぜ不自然に聞こえるのでしょうか?生出演しているときと録音したときでは、歌手の精神状態、つまりテンションが違うため声の調子も違う、という事情もあるでしょうが、もう少し基本的な問題があるように思います。
それは自然界には存在しない音と映像のミスマッチによるものではないかと思います。つまり、口の動き(映像)が声(音)より遅れてしまうと不自然に聞こえるのです。ご存じのように、光は音より早く伝わるため、たとえば歌い手が舞台の上でしゃべっているとき、まず口が動いているのが見え、その後で声が聞こえてきます。この順序が逆になることは自然界ではありません。しかし、音のタイムマシンである音響装置を使えばこれが可能になってしまいます。
たとえば音と映像を同時に記録するDVDレコーダーなどの場合も、圧縮処理に時間がかかる映像は、比較的処理が軽い音より出てくるのが遅くなります。このままにしておくと、きわめて不自然な録音・録画になってしまうため、音をわざわざ遅らせる、という調整がなされています。
歌手がマイク付きのヘッドセットを付けてステージに立っているとき、演奏と声を聞きながら歌う(口を動かす)のだろうと思いますが、ぴったり合わせようとしても、聞こえる声より遅く口が動いてしまうとバレて
しまいます。
こうやって考えると、今までの歌番組が違って聞こえてくるような気がします。
-2005/12/24
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