最近近所のスーパーで、低温殺菌と称する牛乳を見つけ、さっそく買ってきて飲んでいます。味は、なんとなく飲みやすいような気がする、という程度ですが、いつのまにかその牛乳ばかりを買っています。普通の牛乳とどこが違うのでしょうか?
牛乳パックを見ると、殺菌温度とそのための時間が65度30分と書いてあります。普通の牛乳はどうなのでしょうか?近所のコンビニで調べてみると、コンビニブランドの牛乳が130℃で2秒、農協牛乳が130℃で2秒、さらにもう一つ有名ブランドの牛乳をしらべてみるとやはり、130℃で2秒でした。さらに、会社の自動販売機の200mlの紙パックに入っていて、常温保存可能を誇る牛乳には140度で3秒と書いてありました。
これらの、120℃を越える温度で殺菌される牛乳は、超高温殺菌牛乳と呼ばれているらしく、長所は殺菌に時間がかからず日持ちもするというものですが、必要な栄養素が失われ、お腹がゴロゴロするなどのアレルギーが起こりやすい、という気になる噂もあります。
一方低温殺菌牛乳は65度で殺菌するため30分もかかるため大量生産には向かず、さらに高温殺菌より日持ちがしないことから、いつまでも冷蔵庫に放って置けません。しかし、長所は栄養素が失われにくいことと飲みやすくて旨い、という噂があることです。
これらの噂は本当なのでしょうか?
以下は牛乳の殺菌について公表されている方法ですが、いずれも殺菌後に菌の数が1ミリリットルあたり5万以下になるよう法律に定められている、とのことです。
殺菌法 |
殺菌温度・時間 |
低温保持殺菌法
(Low Temperature Long Time) |
62〜65度・30分 |
高温保持殺菌法
(High Temperature Short Time) |
75度以上・15分以上 |
高温短時間法
(High Temperature Short Time) |
72度以上・15秒以上
(世界の主流) |
超高温短時間殺菌法
(Ultra High Temperature) |
120〜130度・2秒
(日本の主流) |
ところで、牛乳の殺菌は1865年のフランスで、牛乳やワインの発酵を抑えるため、ルイス・パスチャーさんによって考案されたことからパスチャライズ牛乳とも呼ばれているようです。1865年と言えば明治維新の3年前のことですから、意外に殺菌の歴史は新しい、と言えそうです。
日本で出回っている牛乳の9割は超高温殺菌なんだそうですが、特長は、@加工時間が短いこと、温度上昇と下降の時間が短いために品質が高い。A常温で6ヶ月以上の長期保存も期待できる。B殺菌しながら流し込めるため容器のサイズが自由に選べる。C容器が安くできる。などが指摘されています。
一方欠点としては製品の組織が変化し栄養価が減少することが指摘されています。
この超高温殺菌は牛乳だけで行われているわけではなく、ワインやビールでも、発酵を抑えるためにも、行われているようです。これは加熱処理殺菌とも呼ばれ、言葉の響きそのものがあまりおいしそうではありません。超高温のUHTまでゆかなくとも、LTLTにあたりそうな60℃で約20分や、最近ではLTSTに当たりそうな70℃で30秒間での殺菌もあるようです。日本のビールはさらに進んでいて、殺菌処理をしない無殺菌ビール、つまり生ビール全盛の時代に入っています。
低温殺菌牛乳は”生”に至る通過点に過ぎないのかも知れません。
-2003/10/19-22
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