xSUNxコラム・インデックス自己・自我意識
理想と現実と自分との関係について


 ここでは、全能の神のように、世の中のすべてを支配できる、かなり空想的な自分のことを理想自我、現実の世界の一人の人間として、こんな自分でありたい、とする、理想的な自己像を理想自己、さらに現実の自分そのものを現実自己、という言葉で表現することにします。

 空想的な理想自我は精神医学の創始者、S.フロイトが、こうありたいとする理想自己はアメリカの心理学者ロジャーズ【Carl Ransom Rogers(1902)】の考えだそうです。

 理想自我と現実自己を混同して、自分のことを全能の神だと考える人はあまりいないようですが、奇妙な事件を起こして逮捕され、取り調べで意味不明のことをしゃべっている人は、もしかしたらそういう人なのかも知れません。

 普通の人々が日常的にぶつかる確率が高いのは、理想の自分と現実の自分との開きに気づいて愕然とすること、ではないかと思います。これに対する処方箋としては、理想の自分に近づく努力はするものの、現実の自分を理解しながら、ときには理想の自分なんぞはうっちゃっておくこと、だそうです。この辺のさじ加減ができるようになれば、揺れ動く思春期のような不安定な位置から抜け出して大人へと成長した、ことになるようです。

 しかし、これだけでは不安定な状態から普通の状態に戻るだけだ、とも言えます。すべての大人が必ずしも幸せではないように、普通の状態に戻っただけでは、様々な煩悩(ぼんのう)を抱えた普通の人に戻るだけではないか、という疑問が沸いてきます。

 自分を理解する能力を獲得した普通の人と、そうした問題意識さえ持つことがなかった普通の人ではどこが違ってくるのでしょうか?

 おそらく、外見は同じように見える土地でも地盤のしっかりした土地と、砂地で軟弱な地盤の土地との違いのように、雲泥の差があるように思います。

 それならば、軟弱な土地に建物を建ててしまったときのように、自分がどんな人間であるかさえ知らぬまま人生に突入したら、もうおしまいなのでしょうか?

 ”途中で傾いていることに気づいても地盤を補強しながら建築を進め、建物ができた後も、補強しながら傾きながら存在しつづけることが可能なら、人生もまた同じでは無いのか?”、とピサの斜塔は世界中の人々に問いかけているようです。もちろん、そのような生き方を本人が望むのであれば、ですが・・・。


-2003/7/5




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