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囚人のジレンマとは何か?


 「甘いケーキが好物である場合、それを食べれば美味しいが、当然の事ながら体重が増えてしまう。体重を減らそうとすれば、好きな食べ物を我慢しなければいけない。」これをジレンマ(板ばさみ)と呼んでいます。

 それなら囚人のジレンマというのはどういう意味なのでしょうか?ここでいう囚人は二人で、一人だけでも起こるジレンマとは違い、集団や組織のなかの人間関係の中で起こるジレンマということになります。


 日も暮れて暗くなり、誰もが寝静まっているはずの真夜中に、腐れ縁の親友と街に出かけ、宝石店に入ってダイヤモンドを盗み出します。ところが外に出て逃げ回っている間にそのダイヤモンドをどこかに落としてしまいました。せっかく盗んだのに結果としては何も手に入らなかったという訳です。

 ところが警察というのは恐ろしいところ、どこから聞きつけたのか自分と親友は、ある日突然訪れた刑事さんによって窃盗容疑で捕まります。しかし、盗んだダイヤモンドは無くしてしまったため物証はありません。

 警察署に行くと親友と自分は別々の部屋で取り調べを受けます。物証がないため証言だけが頼りになります。親友を裏切って正直に証言をすれば、自分は無罪放免、相手は重罪。両方とも自白すれば重罪よりは軽くともまだ重く、両方とも黙秘すれば証拠不十分で刑は軽くなります。

 自分にとって最も刑が軽いのは自分だけが正直に話すこと、次に両方とも黙秘すること、その次は両方とも正直に話すこと、そして最も重いのは自分は黙秘を続け、相手に正直に話されて裏切られること。

 さてどちらを選ぶべきかということになります。

 警察側は両方の罪を認めさせたいので両方が自白することを望みます。ところが犯人である自分と親友は自分自身の罪が軽くなることを考えます。ここで問題になるのは自分と親友は腐れ縁がその関係を示すように、似た者同士であるということです。ということは同じことをする可能性が高いということになります。

 両方とも同じ行動をするという仮定に立てば、両方とも自白するか両方とも黙秘するかのいずれかになります。相手が自分と同類だと信じていれば両方とも黙秘することになります。しかし、これは警察側にとっては最も望ましくない結果です。


 さて、両方とも黙秘して真実が表に出てこないということは良くあることだと思わないでしょうか?談合の事実がなかなか表に出てこないのは、談合をしている双方が似たもの同士であるせいかもしれません。

 一部の政治家と役人はどうでしょうか?膿(うみ)が外には現れず改革が進まないのは似たもの同士であるせいなのかもしれません。

 一部の会社の売れ行きや利益が出ないのも経営者と労働者が似たもの同士であるせいなのかも知れません。本当の理由をどちらも喋ろうとしないからです。


 お互いを好きであるにも拘わらず次の一歩を踏み出せないのも、あるいはそろそろ別れを告げたいのにどうしても話せないのも、囚人のジレンマのせいなのかも知れません。正直に話せば自分だけが損をすることがあっても、そうしなければ新しいものは何も生まれないのかも知れません。


-2002/2/18


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