「人は我慢するだけでは成長しない。」というのは臨床心理学者の言葉です。我慢を重ねても物事が好転するとは限らないため、その我慢をそのまま続けなければならない場合がよくあります。そして最後はストレスが溜まりすぎて出口がなくなり、最悪の判断を下してしまうこともあります。これはストレスをためて我慢をし続けて悲劇を生む最近よく聞く話です。
日本人の根底には儒教思想があると言われています。儒教の世界では人が常に守るべき徳目として五常があり、それはそれぞれ「仁・義・礼・智・信」とされています。
- 仁: 己に克ち、他に対するいたわりのある心
- 義: 人のおこないが道徳・倫理にかなっていること
- 礼: 円滑な人間関係や秩序を維持するために必要な倫理的規範の総称
- 智: 物の道理を知り、正しい判断を下す能力
- 信: あざむかないこと。いつわらないこと。忠実なこと。
この五常を身につけた人を想像するとどういう人物像になるかと言えば、「物静かで誠実な良い人。」の姿が浮かんできます。そして最近では我慢しきれなくなってキレてしまう人の姿も浮かんできます。4つの価値観の分類から言っても男性、女性ともに日本人に最も多いタイプだと言われています。このタイプの人は理想を求めてそれを追求し、どうしてもうまくいかなくなると最後はいきなり放り出してしまいます。
己に克って他人をいたわろうとするとき、もしそのときかなりの我慢を強いられるのであれば、背伸びをしていることになります。仏教の世界では我慢をして頑張るということは我を張り、我がままを通すことであり、罪だとされているそうです。我慢をしているということは現状より高いところを目指しているということであっていつまで経ってもゴールには到着しないため幸福感を味わうのはむずかしいということになります。
ゴールという目標に向かって進もうとするのは幸福を得るための手段であってもちろん目的ではありません。その目標に向かって我慢ばかり続けることは自分で決めた目標に固執することとも言えます。それは己を殺して我慢するから美徳であるがごとく見えながら、実は我がままを通すことになるから傲慢であり罪になるというのですが、もう少しよく考えてみないとまだピンときません。
-2001/3/18(日)
●当サイトは全ページリンク・フリーです。連絡も要りません。
Copyright(C) 2000-2006 xSUNx(サン) all rights reserved.