xSUNxコラム・インデックス自己・自我意識
席の隙間と自己イメージの関係


   ある日の夕方、ターミナル駅の始発電車に乗り込んだ。七人掛けのロングシートにわずかな隙間があり、”何とか座れるだろう”、と思ってそこに腰を下ろした。ところが意外なことが起きた。

 すんなりと座れたのだ。特に両脇の人が大きく譲ってくれたわけでもないようだ。そのとき思ったのは、”自分は思ったより小さい”、ということだった。これはまさに自分が自分に対して抱いているイメージが、想像より小さいことを意味する。

 通常、席の隙間に座ろうとするとき、目の前の席の隙間にイメージした自分を座らせそれが無理が無いかどうかのシミュレーションを行う。瞬時に行われるこのシミュレーションの結果によって、席に座るかどうかを決定している。席に着くかどうかは、ここで描く自己イメージが大きくかかわっていることがわかる。

 それから数日後のやはり夕方の同じ電車で、私の横に座っていた若い女性が途中駅で降りた。其の後、買い物帰りらしい、ちょっと騒がしいおばさまたちの中の一人が空いたその席に腰を降ろした。ところが、これが結構きつい。ぐいぐいと、おばさまはおしりを押し付けてきた。

 ありがちなこんな場面に出くわしたら、世のおばさまたちは、わずかな隙間に座ろうとする図々しい人たちだ、と考える人がいるかもしれない、しかし私はその時、そうでは無いような気がしたのだ。つまり図々しさの問題ではなく自己イメージの問題なのだと思う。

 そのおばさまも、途中駅で若い女性が席を立ったとき、その空いた隙間に自分が座れるかどうかシミュレーションをしたに違いない。つまり若い女性の代わりにまずイメージした自分を座らせ、その結果、座れるという結論に達したのだ。

 ところが実際は思ったよりきつかった。この食い違いの原因は何なのか。それが自己イメージの問題、つまり実際の自分はイメージしている自分より太い、ことになるが、それを認めるわけにはいかない。認めたくないのが女心というもの。おしりを押し込む行為には、こうした自己イメージへの願望が込められているような気がする。

-2007/2/24




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