どんなに”性格が悪い”と言われ、”根性が腐っている”と馬鹿にされる人でもどこからともなく湧いて出る向上心という怪物に苦しんでいるのかもしれない。向上心は現状維持を嫌う。いかに現状が恵まれていたとしても向上心がそこにとどまることを許さない。もともと楽をしたいと考える人間がさほどの努力もなしに向上する方法は社会と共に波に乗ることだ。富が増し、生活がいやでも豊かになれる時代なら人と同じことをするだけで自分も向上したように思うことが出来る。
ただ世の中の流れに任せているだけではこれから先自分自身の向上も無いと思えるとき、何かをしなければと焦りながらも何もできず、自分のなかの向上心を持て余してしまう。もっと不幸な人はいくらでもいるから自分達は幸せだと言われても納得できないのは向上心を捨て去ることができないためだと思う。
隣の人を追い越したいという思いから逃げることが出来ない人でも実は追い越さなければいけないのは自分自身だということに気が付いていると思う。しかし向上したいと思うだけで向上した自分を見ることが出来るのならそれほど楽なことも無い。向上心は楽をすることさえ嫌う。中には向上心という怪物に追われるように努力をする人さえいる。しかし、いくら人生で味わう体験が苦いからこそ甘いものをより甘く感じるのだとしても追われて行う努力は疲労という別の怪物まで連れてくる。
向上心には夢というパートナーが必要だ。夢には向上心を満足させるために必要な努力を苦労ではなく、愉快だと思わせる不思議な力がある。その夢は人に自慢できるような立派なものにする必要もない。どんなにつまらないものでも自分が夢だと思えればそれでいい。夢など持てる時代ではないと難しいことを言い始める”賢い人”より、つまらないかもしれない夢を持ち続ける”愚かな”人の方に自分はなりたい。
-2000/12/31
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