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ベテラン書店人 山ちゃんお勧め1冊 |
失敗しない経営者・紳助 |
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「ご飯を大盛りにするオバチャンの店は必ず繁盛する」
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「ご飯を大盛りにするオバチャンの店は必ず繁盛する」(島田紳助、幻冬舎新書、700円)
タレント島田紳助氏の新刊。なんとビジネス書です。一読して感心しました。この人、本当に頭が良い。おそらくは口述筆記なのでしょう、同じような言い回しがダブることこそありますが、なんとも鋭い記述が次々と出てきます。
例えば、経験のない素人にこそできる商売がある、という論。100軒の店があれば、そのうち本当に成功しているのはわずか1軒だろう。つまりは、残り99軒の失敗例の中でまかり通っているのがその業界の“常識”なのだ。そういう悪い常識を持っていない素人だからこそ成功する可能性は高い、という論法。
芸人としての成功が決してまぐれではないことの証明として、アイデアに満ちたサイドビジネスを展開、さまざまな業種で出店を重ね、いまだ負け知らずという。
「宮本武蔵じゃないけれど、僕はビジネスにおいて一度も負けたことがないのだ」。石垣島の喫茶店、チェーン15店までに成長することを義務付けたラーメン店、入会金わずか2000円ながら店内での傍若無人な振る舞いを許さない完全会員制フォークソング・バーなどなど。そして、紳助氏は夜中、自分に語りかけるそうだ。「な、思った通り上手(うま)くいったやろ。俺(オレ)の考えは間違ってなかったやろ」と。
若いころの自分に戻って、人生をやり直すことはできない。が、昔の自分と同じような、夢を持った若者、仲間や弟子たちにチャンスを与え、その背中を押してあげることはできる。そう考えると、遊び心に満ちた紳助氏の頭脳を中心とした、さながら“紳助ファミリー”とでも呼べる集合体が成長していく物語。本書の本質はそのあたりにあると思います。
ただ、34ページにある、店においてない炭酸水を買い出しに行くエピソードは、感動するよりもまず次からはメニューに加えておくように指示すべきでは?それと…。タイトル、長すぎです(笑い)。
◆山ちゃん(やまちゃん)1959年(昭34)、神奈川県出まれの47歳。大学卒業後、書店業界に身を投じ25年。現在は都内某書店に勤務。家族は妻、子供2人。毎日刊行される80冊の新刊をチェック。ガチガチの専門書と学習参考書以外の本は一通りチェック。
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