クールライダース

(セガ・アーケード)


「ドライブゲーム」ってのは、考えてみれば最もリアル指向を重んじるゲームジャンルなのかもしれません。
現実と違う世界を舞台とする(例えば、「ナイトストライカー」や「FーZERO」など)ならばともかく
「車」や「バイク」といった現実に存在するものを題材としている以上、
”本物”に近い操作感覚、そしてグラフィックを求めるのは当然と言えば当然なのでしょうけどね。

とはいえ、そんなリアルさの中に”嘘”も混じらないと、ゲームとして成立しないのも事実。
じゃないと「リアルだけどゲームとしては面白くも何ともねぇ!」ってな感じになりかねません。
その”嘘”ってのは例えば車体の挙動だったり、ぶつかっても大破したりしない点だったりするわけですが
これを逆手に取ったようなゲームが今回紹介する「クールライダーズ」です。


密かに「アウトランナーズ」の続編だったりする(らしい)このゲーム、
これまでの「アウトラン」シリーズとは違い、バイクを題材としたレースゲームです。
選べるバイクは8種類。ハーレーダビットソンもどきからオフロードバイク、オンロードレース用バイクみたいな基本的なものから
果てはサイドカーやらスクーターまであります。
「ハーレーとスクーターが何で同じスピードで走れるねん!」といった疑問は基本というとこですが、
こういうアバウト加減さが”ゲームらしい嘘”ってとこでしょう。
こういう現実じゃあり得ないことを楽しむのもまたゲームなのですから。


これらの各種バイクで走り回る舞台は世界中です。アメリカ大陸一周コースもありますけどね。
合計で50のステージがあるのですが、またこのステージ群がそれぞれに特色があって良い感じです。
もちろん、その国や州ならではの雰囲気の道や建造物があるってのは当然なのですが
このゲームはさらに「それやりすぎ!!」ってレベルまでの演出を観ることができます。
しかも実写取り込みなので、その破壊力はさらにアップ。

ヒューストンでは途中で月を爆走し、ブラジルでは車体後部でサンバ娘が踊り狂い、
ポリネシアではサメに噛まれながら海にいる大ダコをかわし、
中国では万里の長城や天安門を駆け抜けます。

特に日本ステージは必見。
前半こそ美しすぎる満月と桜吹雪の中を走る、日本情緒溢れた綺麗なステージなのですが
後半では鳥居の下を走り、立ち並ぶフスマを抜ける中、
忍者や弁慶、裸踊りの屈強な野郎どもが乱舞
するという
阿鼻叫喚というか間違った日本感炸裂のナイスステージへと変貌します。
このゲームのコンセプトを如実に再現してると言えるでしょう。

そんな中BGMで流れるのは、バイクといったらコレしか無い!という感じの「Born to be wild」
せっかく音楽が格好いいというのに画面じゃ馬鹿演出の嵐。
このギャップが最高です。
他にも「HANG ON」のアレンジバージョンなんかもあるので、ゲーマーも安心といったところです(何が?)




「果たしてこれが”クール”なのか?」と思うほどに笑える演出が詰め込まれてるこのゲームですが
クールってのは馬鹿と紙一重(だと個人的には思う)なものですし、看板に偽り無しってとこです。
ゲームとしての”嘘”の部分をクローズアップして作られたようなこの作品、
難易度もわりと低めな感じですし、操作系統は遊びやすさ重視の作りになってますから
一度でもこの手のドライブゲームを遊んだことがあるならすんなり入り込めるはず。
見かけたら演出の数々を見るだけにでもやらなきゃ絶対損です。




・・・ただ、問題は大型筐体なもんで、なかなかこういった古いゲームは見つけづらいって点ですね。
というわけでここでこの手の古い大型筐体の見つけ方を1つ。
ボーリング場や郊外のメーカー直営ではないゲーセンといった、場所に余裕がある場所なら見つかる可能性が高いです。
地方に行ったら探してみるしか!


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