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世界中の、そしてさまざまなジャンルの芸術作品や建築物が展示されているベルリンの博物館。その膨大な作品の中に、ひときわ美しい王妃の像があります。20世紀の初めにドイツの考古学者たちによって発見されたその像は、古代エジプト史の「空白の時代」の謎を解くために重要な人物でした。彼女の名はネフェルティティ。古代エジプトの歴史から葬り去られたという彼女の生きた時代に、一体何があったのでしょうか?ミステリーハンター川幡由佳さんが、ドイツ、エジプトに飛び、消されたエジプト史の謎に迫ります! |
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Q.ドイツはずっと行ってみたい国だったそうですね
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そうなんです!街並みが美しいと聞いていましたし、ベルリンの壁が壊されて統一されたドイツが今どんな様子かも見てみたかったんです。それにドイツと言えば、ソーセージとビールじゃないですか(笑)。大好きなビールのおいしい国というのにも、とても惹かれましたね。実際に、ビールは本当においしかったです。それにドイツのビールのジョッキってすごく大きいんですよ。「一杯で二杯分!」と喜んでいました。お肉やジャガイモも大好きなので、ビールといっしょにモリモリ食べていました。
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― すべて回るのに20日以上もかかるというベルリンの博術館はいかがでしたか?
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私は、両側に川が流れていて、中州のような場所に5つの博物館がある「博物館島」と呼ばれているところへ行ってきました。ドイツの人たちは気軽に博物館に訪れて、芸術を楽しんでいることを知りました。名画の数々が、ガラスケースや仕切りのない空間で間近に鑑賞できるんです。私も、遠くから見たり接近して見たりして楽しみました。でも最初は、額にバッグが引っ掛かったりしたらどうしよう!つまずいて名画に突っ込んじゃったらどうしよう!一生かけても弁償できないよぉ、なんて考えてしまいました(笑)。私が取材した日には、子どもたちの集団も来ていたのですが、みんな床に座って夢中で名画を模写しているんです。感動しましたね。小さなころからこんなふうに名画と触れ合っているんだ、と思うと少しうらやましかったです。多分、学校の行事で来ていたのだと思いますが、美術のお勉強というより楽しい遠足という雰囲気でした。
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Q.博物館で、今回の主人公ネフェルティティの像を見たとき感じたことを教えてください |
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実はネフェルティティの時代についてはとても興味があるんです。以前「世界ふしぎ発見!」でツタンカーメンとその妻アンケセナーメンについて取材したときに、ディレクターさんから、里中満知子先生の「アトンの娘」という漫画を頂いて、すっかり夢中になってしまったんです。今では私の愛読書なんですよ。それ以来、古代エジプトをテーマにした漫画はほとんど読んでいるほど、古代エジプト史ファンになってしまいました。なかでも、ネフェルティティの時代というのは、特にドラマチックで大好きなんです。
ネフェルティティは、一度歴史から葬られた人なんですが、今はクレオパトラやツタンカーメンに次ぐ古代エジプトの象徴的な存在になっています。エジプトのミュージアムショップでも、彼女をモチーフにしたグッズがたくさん売られています。でも、本物のネフェルティティ像があるのはベルリンの博物館なんですね。ですから今回の取材は本当に楽しみでした。
ワクワク、ドキドキしながら展示室の入口から入ると、正面にネフェルティティの像があるのですが、像を目にしたとたん圧倒されてしまいました。ものすごいオーラを放っているように感じたんです。ベルリンの博物館のミュージアムショップに、本物と寸分違わず作られた精巧なレプリカが売られているんですが、それと形は同じでも感じるものが全く違いました。ですから、ネフェルティティの像の横に立ってレポートするときは、すごく緊張してしまいました。生きている彼女が横にいるような感じがしたんです。でも嬉しかったです。やっと憧れの人に会えたような感動がありました。そして、像をスケッチさせて頂いたのですが、見れば見るほど美しいんです。人の顔を描いてみるとよくわかるのですが、たいていの方は顔を半分にすると目の大きさや形などが左右非対称の場合が多いんです。彼女はほぼ左右が対称的で、それぞれのパーツの大きさや形も美しく、全体のバランスもすばらしい。完璧な美型です。クレオパトラより美しいと言われるのも納得の絶世の美女でした。
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